宏平から貰った八つ折に小さく畳まれた一枚の紙には遼と海示の想像を絶することが書いてあった。そこには、小さな文字で「中学生徒壊滅計画」そう記してあった。そのあとはこの学校の校長が書いたらしいよく意味のわからない文章がずらりとA4の紙に記されているだけだが、問題はこの「中学生徒壊滅計画」である。これが本当に実行されようとしているのであれば、間違いなく宏平や遼、海示も皆殺しだ。
ふと、教室の外ですごい勢いでこちらに走ってくる足音が聞こえてきた。そしてそれに続けて聞こえてくる荒い息遣い、この世のものとは思えない激しい動悸。海示の心臓が急に締め付けられるように痛く高鳴りだした。

―――ここに居れば殺される。そう考えた海示は教室から出て全力で廊下を駆けた。廊下を全力で走るのは何年ぶりだろうか。よく先生に注意されたものだ。海示が後ろを振り返ると暗くてよく見えないが、間違いなく誰かが全力で追いかけてきている。手にはなにか光るものを持っている。凶器ではなければ嬉しいがこの事態では凶器である危険性が高い。激しい心臓の高ぶりに海示の息遣いも荒くなっていった。気づけば途中まで並走していた遼と宏平も居なくなっていた。そして追いかけてくる者も・・・

海示はその場に座り込み息を整えた。息は荒くそとの雨の音がよりいっそう強くなっている。湿気に包まれた薄暗い廊下で聞こえてくるのは雷の音と雨の音、それに、何かの呻き声。恐ろしくてたまらない。そして気づけば廊下をただ走って居たつもりが一階の体育館の近くの廊下まで走ってきていた。長距離走が苦手の海示がここまで走ったのは火事場の馬鹿力というものなのだろうか。そして、海示は確かに見た。なにか凶器を持って追いかけてくるなぞの人物を。あれは絶対にあの「中学生徒壊滅計画」に関連している者だ。海示には確信があった。普段はなにもない中学にいきなり現れた悪夢。それは絶対にあの計画が関与してるに違いないと、海示が踏んだ。そして案の定。それは間違いではなかった。今、いつ何処で殺されようともおかしくないこの状況で海示以外に生き残っている者はいるのだろうか?それとも、全滅してしまったのか・・・
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