目の前で一体何が起こっているのか、一瞬海示は目を疑った。そう、まさしく昨日まで元気に話していた池谷が殺されている。しかもこんなに無惨な死に方で。海示の目から自然と涙が毀れた。池谷の血は乾燥しきっていて床に血だまりを残しているだけだった。だがこうもゆっくりはしていられなかった。再び、教室の外であの忌々しい音が鳴り響いた。海示は恐らく鬼がいるであろう方向とは逆に走り出した。鬼はすかさず追いかけて来る。まだ体力が治り切っていない海示は息を荒げながら走った。廊下をバタバタと走り一気に一階へ向かう。体育館のドアが運良く相手居たため体育館に滑り込むように入った。中は静まり返っているが、外からはチェーンソーの音が鳴り響いている。慌てて体育館を見回すが隠れられる場所が見つからない。とりあえずステージまでダッシュするが適当に垂れ幕の後ろに逃げ込むことしかできず、そのまま鬼が中に入ってきた。息は速まり死への恐怖が海示を襲う。

―――ドクドク、ドクドク
心臓が高鳴る。鬼の声が近くで聞こえてくる。やはり聞き取れないが海示を探しているのは当然だ。下手に動けば殺される。心臓の高鳴りが一層強くなる。抑えられない息遣いが微かに漏れる。その時、周りの音が一斉に静かになった。さっきまで聞こえて居た鬼の呻き声もチェーンソーの音も・・・全てが静かになった。そして、海示が後方に目をやると、視界には静かに佇む鬼・・・鬼?この距離は絶対に逃げ切れない・・・足がすくんで動けない。鬼はゆっくりとチェーンソーを振りかぶる。だが、その瞬間、誰かがたいいくかんに入ってきた。恐怖の涙で視界がかすんでよく見えないが助かった。だが鬼はまだチェーンソーを上に向かったまま、いつ殺されるのか分からない。
「おい、俺はここにいるぞ!海示!早く逃げろ!」
 視界が開けてきた・・・。遥か遠くのの前方には森 柊。一瞬のすきをついて海示は鬼の懐から逃げ出す。そのわずか一秒後鬼チェーンソーを振りかざした。床にチェーンソーが刺さり、鬼は必死で引っ張っている。海示と柊は夢中で走り出した。
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