長い廊下がただ続いていた・・・その先に何があるのかはまだ海示にもわからない。ただそこが永遠と続いているのかもしれないとさえ海示は思った。ちらりと横を見ると、柊が息を荒げながら同じペースでついていきていた。限界を越えた二人の体力をよそ目に鬼は全くペースを落とさずに追いかけてくる・・・。
「海示、よく聞け。俺はあの鬼を食い止める、だから海示はその間に逃げるんだ」
「何言ってんだよ、一緒に生き残るんだよ」
 海示よりも息を弾ませている柊は突然クルリと方向転換し、鬼と向き合った。その時だけ時間が止まったように思えた。額から流れ出る汗が目に入って海示は目を瞑った。そのわずか一秒間の間に、物凄い轟音が廊下に響き渡った。血飛沫が海示の顔に掛かり柊の死体が海示の足元に転がる。手が震えて目の奥が熱くなった。必死で涙をこらえて鬼に背を向けた。そしてじょじょにスピードを上げていく、風がビュンビュンを海示の耳を擽った。鬼の足は止まり海示と鬼の差は50メートルほど、恐らくは追いつかない程度の距離だ。ゆっくりと足を止めて服の袖で汗と混じった涙を拭く、それと同時に嗚咽が出て、しゃくり上げた。海示の涙が廊下の木製の床を濡らしていく。
柊が・・・自分のために死んだ。自分が未熟なせいで柊を殺してしまった。海示はギュッと唇を噛み閉めて歩き出した。
今の自分は鬼には絶対に追いつかれない。息は少々弾んでいるがまだまだ走れる。すると、丁度いい所に鬼が来た。鬼は海示を視界に捕らえると、まっすぐに向かってきた。鬼との差は10メートル、海示は動かない、3、2、1・・・鬼はチェーンソーを振りかぶり、おろした。海示はそれを避け、鬼の腹に右拳で力の限り殴った。鬼は呻き声を上げて悶絶した。海示はそのまま鬼の脇から階段の方向へダッシュした。鬼はもがき苦しんでいて、追ってくる様子はない。
そして、海示は知らない間に4階まで上がってきていた。静まりかえった廊下にまた、雷の音が響いた。そして、同時に何かの足音も・・・
海示が振り返ると、鬼が・・・・暗くてよく見えないが、5人は軽く居る。海示は全力で逃げた。さすがに、もう体力はなく、足にも力が入らずに、鬼がみるみるうちに追い上げてくる。鬼達との距離が5メートルほどになった時、非常用階段が目に入った・・・
スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。