静かな図書室に激しい破裂音が響いた。宏平の拳が遼の頬を捕え、激しい音を立てたのだ。遼は顔色一つ変えずに再び同じ姿勢に戻る。
「なんで…なんでだよ…」
 宏平は本棚を殴りつけた、本がバラバラと本棚から落ちる。
「なんでそんなんになっちまったんだよ!!」
 宏平は遼の胸倉を掴みもう一度殴ろうとした瞬間、遼が口を開いた。
「カイジは…もういないんだ…」
 宏平の手がスルスルと降り、遼から手を放し、目から涙が零れ落ちた。

輝は校庭に立っていた。そう、カイジが死んだとされる場所だ。ゆっくりと花束を置き、手を合わせる、三十秒ほどの沈黙が続いた。
「松之木」ふいに名前を呼ばれ合掌をやめ振り向くと佐藤駿がたっていた。
「カイジが消え失せてから半年が経ったんだよな…」
 輝が黙ってうなずきその場を立ち去ろうとすると、駿が輝の肩を掴んだ。痛みが肩を通して伝わってきた。
「悲しんでてもなにもはじまれねぇぞ」
 駿はそれだけ言って手を放した。そして輝はゆっくりと立ち去った。
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