「乾杯!」
 白髪の木戸が腕を高々と挙げた。校長だ。その奥には林が事務担当の先生と話している。
「おう、佐藤君。どうだね?宴会くらい、パーッとやらんかね」
「失礼ですが、私が生徒が心配で――」
 そこまで言うと木戸は首を振って少し口元を笑わせた。
「君という教師は実に素晴らしい教師だとは思うよ、ただし、私のための記念宴会だ。楽しんでくれたまえ」
 木戸はそこまで言うと、林の元に行って何かを話し始めた。林も笑顔で話をしている。佐藤はビールを一口の飲んだ。苦い味が口中に広がり思わず目を細める。ビールはあまり得意ではない。そして、今日は校長である木戸の誕生日だ。周りは賑やかな雰囲気だ。そして、宴会会場にも華やかな音楽が掛かり、楽しい雰囲気である。
「佐藤先生」
 突然名前を呼ばれて佐藤は一瞬周りを見ました。10メートル程離れた所から佐々木が手を振っている。愛想笑を佐藤は作ると佐々木の元へと向かった。
「佐々木先生、あなたもわかりますよね?」
「生徒のことですよね?」
 佐藤は黙ったまま頷く。
「私も生徒は不安です。ですが、この宴会がおわってからでも遅くはありませんよ」
 佐々木は笑みを浮かべたまま話している。佐藤は心の中でしたうちをし、トイレにいくと言ってそのばを離れた。
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