ベッドに横になるといつも感覚に襲われる、FBIのことを引き摺ることはしようとも思わなかったがこのマリーの調査をしようと思ったのはなぜだろうか?そう考えてしまう自分に問いかける。したからかすかにアルフ婦人の声が聞こえる、ジョンの声も聞こえる、どうやらアルフ婦人とジョンが家賃滞納のことで揉めている様であった。
「俺はもうこれでいいんだ。」
 呟くと少し楽になった。窓に風があたり気味の悪い音をたてる。ガタガタとふるい構造のアパートの窓をゆする風。窓の外にはにわか雨がぱらついていた。
シュヴァルツは長い間の夢を見た。FBIに戻り現役で活躍している夢、それは今の自分より数倍輝いていた。いや、何百倍かもしれない。そんな事を考えながら洗面台の鏡と向かい合った、顔はひどくやつれ、汗が滲んでいる。蛇口をひねり冷たい水を手に感じる、手で水をすくい顔を洗う。顔に冷たい水があたりひやりと気持ちい。
不意にノックの音が聞こえる。
「すまないシュヴァルツ」
 聞きなれた声、なれなれしい口調、ジョンだ。シュヴァルツは黙って玄関に入り口にたった。
「金なら貸さないぞ」
「あぁ・・・いやぁ実はな、大家のアルフ婦人から催促されちまってな、頼めるのがお前しかいなかったんだよ」
 シュヴァルツは黙ったまま拳を握る。頭の中で血が逆流するように熱く、締め付けるように痛い・・・シュヴァルツの拳はまっすぐにジョンの頬に飛んで行く。
ジョンは廊下にしりもちをつき、頬の撫でる。ジョンの体が小刻みに震えている。
「あ・・・すまないジョン、殴るつもりは・・・」
「俺が悪かった、じゃぁな」
 ジョンは黙って廊下を小走りで去り、自分の部屋へ入って行った・・・
シュヴァルツはベッドに腰掛、手で顔を覆った。視界には闇が広がり聞こえてくるのは窓が揺れる音と時計の音・・・
シュヴァルツは自分のテーブルの上に無造作においてあるSDカードに目をやった・・・
マリーのSDカードは銀の取っ手の部分の塗装が剥がれ落ち使い込んでいる様子が伺えた・・・
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